2011-03-19

被災によって両親を喪失した子供が多くいることをニュースで知った妻が涙ぐみながら、一人か二人でもうちで引き取れないかなどと言い出した。荒川智則はため息とともに冷静に家計状況を説明した。現在一家の大黒柱は死の台地東京から職場放棄して高知へ疎開していること、今後も当面は労働の意欲なく本人の意思としてはニートを志望していること、貯金は疎開と大黒柱の浪費によって底をつく目前であること。妻は納得しない様子だった。荒川智則はIfの話をした。もし、戦災孤児を養子として引き取るにしても、厳密な選定による必要がある。荒川智則の意思と技術を引き継げるだけの知性と美貌を備えたとても優秀な子どもなら引き取ってもよいがあとのは要らないし金がない旨を説明する。妻はそれ以上話題を続けなかったのでこの件はお開きになった。