2010.08.16 18:40

社長は理解を示してくれた。その気持ちはわかると。先輩には相談しなかったのかと聞かれた。別の先輩から昔、自分の人生の運命を決定するようなことは、絶対に人に相談してはいけない。相談してそれで決定してしまったら、絶対にあとで後悔するからと聞いていた。その旨を伝えると、社長は、確かにそうだねと言った。社長も今の会社を作る前にサラリーマンをやめるとき、誰にも相談せずに決めたと。社長はいろいろと話してくれた。そしてとりあえず近いうちに自社でもう一度話し合おうということになり、喫茶店を出た。出たあとで、またいろいろ話してくれた。昔も院を出てたすごい優秀なプログラマがいて、やっぱり荒川智則と同じことを言っていたよと。そしてその人はやめて転職してしまったと。荒川智則もその人に似ている気がすると。荒川智則のいうことはとてもよく理解できる。ただ理解して欲しいのは、今のうちの会社には、仕事を一括で受注するにはリスクが高すぎるんだよと言った。「技術的なリスクなど問題になりません!」と荒川智則は叫んだ。しかし社長は、技術的な問題ではないと言った。体力がないんだと。体力とは資金のことか。一括で仕事を請け負うとなると、その半年か一年あるかわからないプロジェクトの成果物を納品するまではお金を払ってもらえなかったりする。今みたいな派遣なら、毎月体力のある大企業からお金が入るからそれでやっていけるのだろう。半年も一年もお金が入らずに社員にはお金を払うという体力はないのだろう。荒川智則は最後の望みのように叫んでしまったが、無為に終わってうつむいてしまう。