2010.08.16 18:20

荒川智則は疲れていた。何もかもに疲れていた。一番辛いのは子どものことだった。子どもは少し問題をかかえている。それは娘の生涯にわたるレベルの問題だった。そこに自らの労働感の崩壊と会社からの評価を受けて、次第に仕事をやめることを考え始めた。これまでにも何度も転職騒動はあり、その度に思いとどまってきた。妻や親からなだめられ、確かに今のまま頑張り続けるべきだと思い直した。しかし今度はこれまでのものとは違うようだった。もう荒川智則はこの仕事を続けていくことが不可能だと思うようになった。