2010.08.16 18:20

それはこんな画面だった。ユーザが好きな絵を好きな場所に配置できる。背景の絵の上でそれらをリアルタイムに動かして、保存すればそのまま待受け画面にそう表示される。絵は重ねて配置することが出来る。荒川智則はすぐに背景を読み込んで配置し、その上に好きな絵を配置して、自由に画面内を動かせるところまでコードを書いた。リーダーが「もうできましたか」とうれしそうに見に来た。荒川智則は得意そうにキーを操作する。リーダーに指摘されなくても、ひとつの大きな欠陥に気付いていた。ちらつきである。背景の絵を読み込む部品の上を、別の絵を読み込んだ部品が動き回る。ひとつキーを押すごとに、全ての部品に描画命令が飛ぶ。そして重なりあった部品では、他の部品の描画が下にある部品の描画に影響する。絵を左から右の方へキーを押しっぱなしで動かそうとすると、目が痛いほど画面がちらつく。そしてそれを修正することが困難だった。部品に描画命令が飛ぶことはアプリレベルの層でいじることは出来ない。そして描画命令を受けた部品がどのように自分自身を描画するかということは、部品自身で決定している。全て他チームのコンポーネントで、部品は全てのチームで共用しているから、自分たちの個別要件で修正願いなど出せるわけがない。つまりこのちらつきは、自分たちで手を入れることが出来ない。荒川智則は行き詰まってしまった。