2010.08.16 18:20

派遣先に出社する日が来た。絶対に遅刻はすまいとアラームを何重にもセットしておいた。三十分以上も早くつき、時計台で社長と待ち合わせ、入り口で社長に見送りしてもらい、とうとうあの扉の向こうを見ることが出来た。恐ろしく広いオフィスだった。一面に机の島が並んでおり、びっしりと人とパソコンがあった。同じ日にそのオフィスに入ることになった派遣の人たちが他に三人いて、荒川智則と同じ区画に配置されることになった。DELLのレンタルパソコンを与えられ、まずはそれを組み立ててセットアップするまでが今日の仕事とのことだった。パソコンを落とさないように慎重に机に運び、梱包を解いてセットアップする。梱包の袋やケーブルをまとめる部品などはゴミ箱に捨てた。あとからレンタル品だから梱包一式も捨ててはならないと気付き、首になると荒川智則は怯えていた。パソコンのセットアップが終わり、見慣れた、しかしとても新鮮なWindowsXPのデスクトップが表示された。プロジェクト共通のwikiで最低限のツール類をインストールした。開発者向けのツールはライセンスが限られているから、テスターである荒川智則たちはインストールしないようにとのことだった。