2010.08.16 18:20

荒川智則が驚いたのは、社長が麻雀を愛していたことだ。その方面の話でずいぶん盛り上がり、荒川智則は親近感を感じていた。高知から東京へ社長が帰る前日、地元の友人たちとの麻雀に社長が同席し、友人たちからかもられているのを見て、荒川智則はいたたまれない気持ちだった。社長が弱いのは、ビールと焼酎のちゃんぼんのせいである。父親との酒盛りが盛り上がった日、これから友人たちと麻雀に行くと就寝前の社長に言うと、同席したいなどと言い出したため仕方なくつれてきた。社長は終始にやにやしながら暴牌をして負け続けた。社長は楽しかったといってくれ、荒川智則は胸をなでおろした。空港で別れるとき、社長からこの間の派遣先の面接のことを報告を受けた。お客さんの反応は相当に厳しいようで、今のところ入るのは無理ということだった。なんとしてもねじ込むから、入ったときに駄目な奴だと思われたことを見返すくらい実績を出すようにがんばれと言われた。社長はああ言っているがこれはもう駄目だなと荒川智則は落ち込んだ。派遣先の面接をどこも突破できずに試用期間が終わり、また無為な生活に戻るんだろうなと予感を感じていた。