連休の頭に、ロールチキンを買った。私はプラスチックパックを開け、直接それを食べようとしたが、味が濃くて、食べられなかった。数日後、ロールチキンは机の上に放置されていた。フタを閉めるのを忘れていたため、ソースがにこごりのように固まっていた。鼻を近づけると異臭がしたため、フタを閉めた。しかし閉めたつもりだったが、うまく閉まっておらず、フタが再び開くと同時に、反動でにこごりが飛び散った。妻が洗おうとしたため、負担をかけるのを避けるため、私がやると言いおいた。しかし口先だけで、アクションを起こさなかった。数日後、妻が再び洗うと言い出したので、負担をかけるわけにはいかないので、明日の朝までには必ず洗うと言いおいた。しかし口先だけだった。翌朝、処分に困ったので、とりあえず駅に捨てることにして、フタを閉めてビニール袋でくくって、かばんにいれた。出勤途中、駅のゴミ箱の前に、掃除のおじさんがいた。仕方なく会社のゴミ箱に捨てることにした。会社についたが、食事時でもないのに大きなビニール袋を捨てると、家庭ごみを持ち込んだと看破されかねないため、昼食時を待った。昼食になった。普段は弁当を注文しているが、カモフラージュのために、わざわざコンビニで弁当を買った。食事が終わり、コンビニのゴミと一緒に、捨てることにした。かばんから取り出すと、フタが開いており、にこごりが机にかかった。ようやくゴミ箱に捨てることが出来、肩の荷が下りた気持ちだった。それで終わりだと思っていた。会社から帰るとき、セキュリティカードをかざそうとすると、ふと自分のすぐ近くから異臭がしていることに気付いた。かばんの口が少しあいていた。かばんを覗き込んで匂いをかぐと、異臭が立ち込めた。にこごりが漏れていたようだ。かばんの口をきつく閉め、帰路についた。電車の中で、かばんの口を閉じいても匂いが染み出していることに気付いた。翌朝、かばんの中から最低限必要なものを抜き出し、かばんを捨てた。かばんの中はにこごりでベタベタになっていた。会社についた。仕事をしていると、ふとかすかな異臭が鼻についた。普段かばんをいれている引き出しをあけてみた。引き出しの底が油でぬれたようになっていた。前日にかばんの底から染み出したらしい。汚れをふきとった。仕事が終わり、帰宅した。玄関に入った瞬間、するはずのない異臭を感じた。深呼吸をして再確認すると、匂いは消えていた。犯罪を犯して時効を待つ人間の心境とは、このようなものなのだろうと思った。悪いことは出来ないものである。良心の正体とは、おびえなのかもしれない。