また傘を現場に忘れてまた雨が降っておりまたタクシーに乗ってしまった。うんざりである。残業代をどぶに捨てているようなものである。この世広しといえども深夜タクシーの運転手ほど接客のひどい仕事もあるまい。客の足下見すぎ。ワーキングプアのくせに。財布に金がなかったから部屋に取りに行ってる何十秒の間にメーターが上がってるのを見ると恐怖を覚えた。なんたる守銭奴。血も涙もありゃしない。財布が空になったのはまずいラーメン屋に入ったからであった。ラーメンをすすっていると従業員どもが中国語で会話を始めた。こいつら中国人かよ。二度とこの店には来ないことを誓った。中国人のやってる店にこのご時世行くなど命あってないようなものである。そいつらの中国語の会話を聞いていて静かに理解した。人々が異文化を受け入れることは本質的にありえない。気持ち悪いのである。たとえ同じラーメンをすすろうと奏でる音が違ってしまうのだ。わかりあえるはずがない。深夜タクシーの運転手に覚えた恐怖と同質のものがある。ああ、こいつらとはわかりあえないと細胞室のひとつひとつに染み渡るのだ。俺に向いていたバグは結局全部他のやつのミスや
環境ミスだった。拍子抜けである。