夫から毎朝コーヒーを頼まれる。小さな鍋でお湯を沸かして分厚いコップに注ぐ。
冷たい朝日がカーテンの隙間からさしこむ。コップの周りだけ温度が上昇する。
砂糖は入れない。粉を溶かしてミルクを注いで、湯気の色が少し変わった気がする。
しばらく観察しているけど夫はコーヒーに手をつけない。新聞と携帯を行ったりきたりしている。
そのうちもうこんな時間だとか言い出して。バタバタとあわただしい朝が始まる。
夫を見送った痕の朝日のさしこむテーブルで、すっかり冷たくなったコーヒーを飲む。
少し前までたちのぼっていた湯気の色と空の色を思い出しながらテレビのリモコンを探そう。