2010.08.17 08:40

荒川智則は思い出していた。これまでまるで評価されなかったなと。社長や部長は荒川智則がどれだけ尋常じゃない努力をしているか、どれだけ技術者としてレベルを上げたか、一切知らないし興味などないだろう。聞かれたこともない。毎月時間通り働いて時給分稼げばよかったんだなと。プロジェクトが路頭に迷ったとき、荒川智則は人の何倍も働いた。家に帰ったあとはネットで調査し、いつも技術のことを考えていた。チームの前を塞ぐ障壁を取り除こうと最大限にがんばってきた。そして気付いた。一度もお礼をいってもらっていないことに。荒川智則さんには感謝しています。いつも大変なときにたくさん助けていただいてありがとうございます。そういった言葉を一度もかけてもらったことはないと。問題を取り除いてやると、その場では礼を言われる。しかし、全体に対する貢献が評価されたことはなかった。彼らにすればトゲを抜いてくれた小人くらいにしか思っていないようなのだ。小人は精一杯がんばっています。でも時々は褒めてやって下さい。働きに値するだけの褒賞を与えてやって下さい。荒川智則の中の小人がそうつぶやいていた。