2010.08.17 06:00

新宿に朝日がめぐる。けばけばしい光はアスファルトに吸い込まれたようにいなくなる。東京に血液がめぐる。電車に乗った荒川智則の頭の中では無数の電車が東京中にヘモグロビンを運ぶイメージが浮かぶ。今日は会社を休もうと思った。部長に欠勤通知メールを出した。今日にも社長から荒川智則の辞意が伝えられるはずだ。部長は荒川智則のことを息子のようにかわいがってくれた。荒川智則も部長のことが大好きだった。部長と社長の善意や好意には、感謝してもし足りないと思っていた。