2010.08.16 18:20

それは荒川智則がやがて退職を切り出すことになる喫茶店での出来事。社長は荒川智則の勤怠の悪さを注意した。普通の会社だったら一発で首になると。今の派遣先はそういう面に甘いのかもしれないけどちゃんとしてもらわないと困る。うちは時間でお客さんからお金をもらっていると。そして社長は前月の荒川智則の売り上げについて言及した。その月は日ごろの遅刻癖の上に子どもの通院が倍以上に増え、それはもう悲惨な勤務状況だった。労働時間が少ない割りに精神的に疲労も強い時期だった。荒川智則は、たとえどんなに病院が遅くまでかかっても、どんなに遅刻しても出社していた。有給休暇なんてほとんどとらなかった。一日一時間でも労働できればスケジュールは達成できていたので、チームには迷惑はかけていないつもりだった。何かチームで問題が生じていても一応毎日出社はしているので、それで問題ないだろうぐらいに思っていた。少し前までは残業しまくっていたので、今少しくらい時間が減ってもいいだろうぐらいに思っていた。だがそれは甘かったようだ。だが荒川智則は他のことがひどく気になった。