天皇特権

乙武氏が五体不満足な自虐ネタを披露して、そういうことをみんなで笑いあえる社会にしたいと言っていた。違和感を感じた。

ハンデを抱えている人間が強いというのはあまりにも当たり前だ。そういう意味で一般人は五体満足であることで逆に大いなるハンデを背負っている。五体満足であるということは、パーフェクトであるということだ。完璧な人間だと自分でも認識しているし周囲からもそう扱われる。だが実像はパーフェクトとはほど遠いクズであることが大半。当人は苦しむ。理想を自ら体現しているにも関わらずその体も脳味噌もまったく思い通りにならないのだ。人生になんのとっかかりもない。なんでもできるはずだという可能性は全ての可能性を奪う。乙武氏は自らのハンデに感謝しているはずだし信仰しているはずだ。手足がないことは彼にとってネタどころか神なのだ。彼の座る椅子は王様の椅子なのだ。ニーチェは言った。女は与えることで奪うのだと。搾取しているのは男ではなく女の側なのだと。彼に阿諛追従する群集は多くのものを失っているようにみえる。乙武氏は多くの国民に勇気と希望を与えた。そしてたくさんの可能性を奪った。