ストーブの火

ポッと火が灯り そっとかざす
ぜんまいのネジを少しずつ巻くように 火の子たちがやってくる
きっと世界中は 寒さに震えているだろう
全てを照らす太陽さえ 人の内へは届けない


火がついたように泣き出すわが子 そっと抱きあげる
蚊取り線香がちぢむように ほんのり温かみがやってくる
きっとこの子は震えているだろう やがて芽吹く喜びのふたに
全てを照らす太陽さえ 人の内へは届かない


ストーブから離れると 火の子たちはかえっていく
ベッドで寝息を立てるのは 腕の中で眠ったわが子
いつまでも消えないぬくもりは
たったひとつの永久機関