よりそいプログラミングか

ずいぶんおもしろい造語だなと思った。他人の書いたコードはいくらでも読めるが、他人がコードを書いているところを見る機会というのはまったくといっていいほどないだろう。僕の短い社会人生活でも一度もない。ニコニコ動画などで、女の子の絵を描く過程を見せたりするのがあったような気がする。なるほど世の中のCG描き達はこのようにして絵を描いているのかと感心したものだ。ただ注意しないといけないのは、過程を見せているつもりでいても、過程というのは、単に結果の積み重ねだったりするわけで、果たしてそれを見ることが素人に良い影響を与えるかというと、それは違うのではないかなと思う。ゴクウが界王拳を使ってフリーザと戦っているところを見たって、どうしようもないのと同じである。リアルタイムの映像化というのは、観衆を作るだけで終わってしまう。ボクシングとかサッカーとか、どうでもいいものが観衆を巻き込んでわあわあいってるのは別にいいが、プログラミングという崇高な作業にそんなものを持ち込んでほしくはない。新人の教育という側面でいうなら、よりそいプログラミングはやりすぎであると思う。なんか気持ち悪い。よりそわなくても、熟練者の作業画面をwinkとかで丸一日録画して、適当に資料にしておけば事足りる気がする。ペアプログラミングと一緒で、口臭とか鼻息といった問題もある。そのうち、プログラマ強化指南DVD的なものが売り出されたりする可能性もあるのだろうか。NDAとかあるだろうから内容は制限されるだろうが。我が社のエリートプログラマの一日みたいなしょぼいタイトルで。それにしても動画という媒体は、ずいぶん無駄が多いように思う。ビット的にも視覚的にも不要な情報ばかりで、かったるい。最近IT勉強会なるものが流行っているようで、カテゴリごとに人が集まって、発表者がスライドで高橋メソッドと実際の作業風景を駆使してテーマについて話し、会場での参加者とストリーム放送を介したネットごしの参加者が傾聴するというもののようだ。俺もたかみちえ氏がわんくま勉強会に登壇すると知ったときは、とうとう俺も勉強会参加者デビューかと勇んだものだが、氏が男性だと知ってしまって、まったく興味を失ってしまった。俺は高校生の頃から氏のファンだったから、ずいぶんへこんだ。詐欺みたいなもんである。この世に女性プログラマはいないのだと再認識させられた。これまでに勉強会や発表会の動画をいくつも見たが、学習効果よりも残念さがより漂ったものだ。どうしてその貴重な情報を、テキストにしないのだ、としかいいようがない。テキストでない情報など、存在しないも同然である。特定の事柄についてぐぐる。そうしてヒットした情報のページへ飛ぶ、しかしそのページにあるのはタイトルだけで、そっから先は動画になっている。うんざりするしかない。仕方なく動画を再生する。すると滑舌が微妙なテレビ映えのしない男性がくだらないジョークで会場の気持ちを必死になってつかもうとしているシーンから動画が始まる。しばらく我慢して聞いてみるが一向に話は進まない。シークさせても状況は変わらない。時々滑舌が微妙なテレビ映えのしない男性がくだらないジョークで必死になって会場の気持ちをつかもうとするばかりである。仕方なくページに添付されているパワポのスライドを開く、しかし高橋メソッドのせいで情報がほとんど載っていない。そうして嘆くわけである。やっぱり女性プログラマなどこの世にはいないのだと。世の動画サービスを見渡してみれば一目瞭然だが、動画サービスに適した動画というものには条件がある。意味のある会話や内容がほとんどないというのがそれである。tube8を開いてみればいい。そこにあるのはファックだけだ。ファックに会話は関係ない。ニコニコ動画を開いてみればいい。そこにあるのは毛が生えているのか生えていないのかわからない素人たちの宴だけだ。ずいぶん楽しそうではあるがそこから何かを学び取ることなど不可能である。テキスト化する価値もないものばかりが垂れ流されているのみである。同じ素人の集まりであっても2chは驚異的な価値を生み出し続けている。テキストだからである。はなから適正のない媒体に無理やりはめ込んだところで、しようもない。つまり、よりそいプログラミングがいいとかいうのは、テキスト化しない言い訳でしかない。勉強会などといって騒いでいるのは、テキスト化すると化けの皮がはがれてしまう内容だからである。高橋メソッドのメタファーは、お前らの言いたいことなんて、所詮この程度の文字数で十分なのだという遠まわしなけなしではなかったのか。冗談を冗談とわからずに何をやっているのか。勉強会の視聴者は気付くべきである。本来テキストで公開すべきものをわざわざ生身の発表や制限された動画で表現されてしまうのは、発表者のためでしかないということに。我々視聴者は利用されているのである。発表会のあとには決まって飲み会があり、そこで発表者たちは他のタレント技術者たちと親睦を深めるらしい。つまりあれは、発表者のタレント技術者とのつながりの創出や売名や人前でしゃべっても恥ずかしくない耐性を上げるためでしかないのである。どうしてそんなものに我々の貴重な時間を投じなければならないのか。断言させてもらうが、女性発表者のいない勉強会など、参加する意味はない。