モテ恋愛格差などとぬけぬけと

目が覚めてたまたまたテレビをつけたら「スパモニ」がやっていた。全般的に記憶があやふやであるが。例のやくみつる氏と亀田氏との抗争が勃発した番組だ。久しぶりに見たやくみつる氏には悲壮感が漂っていた。今日の特集のテーマは「モテ恋愛格差社会」だ。国立社会保障・人口問題研究所という権威あるリサーチャーによれば、若者男女の7割が恋愛していないという。男女別にみると、女性は3人に一人、男性は4人に一人が一人ぼっちらしい。しかも、30〜34歳(記憶あやふや)に限ってみれば、男女ともに20数%が性体験なしだそうだ。「今女性は、男性にある一つの能力を求めている…」などとナレーションが出て、なんだなんだと身を乗り出してみれば、「経済力」などとテロップが流れた。口をあんぐりあけている僕にさらに追い討ちをかけるように23歳派遣社員女性のコメントが流される。「私が買いたいものが買えるみたいな相手がいい。年収は5000万円くらい」(いや、記憶あやふやだけど、こんな感じ)。僕は口をあんぐりしたまま鼻をほじりながらさらに番組は進む。えらそうな髪の薄い気持ち悪い専門家が登場して、さも知ったふうな口を聞く。「現在モテ格差社会とも呼ぶべき現象が…。」みたいな。続いて登場した恋愛・家族問題の専門家みたいなおばさんもなんかどっかで聞いたようなことばかり言う。「経済力」も大事だけど「コミュニケーション能力」も大事だとさ。恋愛の経験値が低いと結婚してもうまくいかず、離婚しちゃうケースが多いとか。相変わらずやくみつる氏の発言は腐臭が漂っていた。そのおばさんがこう発言した。「恋愛にはすごくエネルギーが必要で、エネルギーのある女の子はどんどん自分を磨いて、それにはお金がすごくかかるからばりばりに働いて、そうするとどんどん輝いて、そうして人が集まってくる。逆にエネルギーの少ない子は、いろいろなことに手を抜いて人があつまってこない」。それに対して我らがやくみつる氏はこう斬り返した。この人あほです。「いや、そういう女はいけすかない。俺は日陰にいる女の方がいい。」誰もお前の好みなど聞いていない。前から思っていたがお前ろくなコメントしないじゃないか。僕の方が多分コメンテータとして優秀だと思う。僕ならこう斬り返した。「いや、女なら誰でもいい。オールカムインの精神でいく。むしろお前でもいい」。続いて変な別のおばさんがこうコメントした。「男性はプライドが高すぎる。傷つくのを恐がっている。自分から積極的にアプローチしようとはしない。プライドが許さない。恋愛には女性に決定権がある。女性が選ぶ側で男性は選ばれる側。」いいこというね、おばちゃん!でまた専門家のおばちゃんが語る。「男性にとって究極的に傷つかない方法は、恋愛をしないということです。」みたいな。そうしてフィギュアとかヴァーチャルな世界へ旅立ってしまうのだそうだ。ふ〜ん。で、今度は変なおっさんが、「いやね。私が驚いたのはね。この調査を国立社会保障・人口問題研究所っていうところがやったことですよ。これはすごいことだ。」って発言して。「国家の存続の危機」だとかボードに書かれていたっけ。で、また専門家のばばあが、「結婚している人たちの出生率というのはそれほど変化していないんです。二人とか作ってる。でも問題なのは結婚しない人たち、いえ、そもそも恋愛すらできない人たちが増えていることなのです。」だとさ。そこでテレビを切った。まあ、だらだらと番組の内容を振り返ってみたが、確かにこれは深刻な事態だ。僕は街でいくつもの楽しそうなカップルを見てきたが、あれは上澄み液だったのだなと思った。ビーカーにヘドロだとかぶちこんでしばらくほっておくと、ビーカー上部のわずかな部分にだけ、きれいな水が集まる。不純物が沈殿し、きれいな部分だけがわずかに残ったのだ。僕たち非モテの懊悩を誘うステップは、たんにそこだけを見ていたことによるものなのだ。番組を見たあと、なんともぬぐいがたいさみしさだけがあとに残った。お前ら、ちゃんと恋愛しろよ…。しかし番組ではこうもいっていた。この混迷の世の中で男性に経済力を求められてもどうしようもない、みたいな。しかし女性自身も自らを不安定な位置に置かざるをえず、収入の安定が見込めない以上結婚など望外であると。こりゃあかんわ。なんというか、前門の虎後門の狼肛門に痔って感じだ。にっちもさっちもいかない。しかし、これはある意味チャンスではないか?結婚しろ圧力は確かに減ってきたが、ここに来てこういう状況では、今度は恋愛したい圧力がぐんぐん増しているわけだ。となれば、本来であれば不可能だった恋愛が成就する可能性が高まっているわけだ。むむむ。どうせ僕はもう残りの半生をネタに捧げると決意した身だ。おもしろそうなことならいとわない。やってみるか…。