日本のIT技術者が中国に太刀打ちできないたった一つの理由

この記事は妄想ですからね。オフショアだアウトソーシングだなんていう話はアメリカの遠い遠い世界のことであって、日本語という壁に守られたこの国では一時的な話題にはなろうが所詮は煙で終わるよなんていう話は、眉唾もいいとこで、日本国の援助を受け留学してきた中国の学生たちは流暢な日本語操作能力を手に入れ、母国に持ち帰り、その種は近い将来僕らの仕事を根こそぎとはいわないけど大部分をかっぱらっていくことは、必至だと思う。雑誌の編集やデザインという知的と思われる分野にまで中国の侵食は進んでいることが以前話題になったが、プログラミングやシステムの設計・運用といった部分も、すでに他人事ではなく、絶望的な状況である。これは、何も日本人が中国人よりもはるか劣る脳みそであるだとかそういう次元の問題ではない。学習環境の問題である。プログラマであるために別に数学者である必要はない。小難しい理論の創出とかは酔狂な奴らにまかせて、プログラマはその論を理解し実装すればよいのである。大事なのは理解だ。いかに多くのことを理解できるかが重要なのだ。何度もいうように理解のためにはweb上の分断された情報群では心もとない。がっしりとした体系書が必要不可欠なのだ。そこにおいて、我々日本人はまず英語という壁で阻まれる。プログラミング関係の優れた良書は海外のものが圧倒的だ。Addison Wesley、OReilly、Prentice Hall、Wrox…etc、いくらでも良書は産出されるが、日本では情報も得にくいし、それらが翻訳されるケースなどごくまれだ。大半は原著で読むしかない。どちらにせよ金はいくらでも必要だ。とにかく、言語レベル、金銭レベルで日本人は圧倒的なハンデをしょっている。翻って中国はどうなのか?知っている人は知っているが、中国においてIT関連の知識を吸収する手段は、無料で、かつ無限である。嘘だと思うなら、中国のyahooにでもいって、検索してみるといい。たとえば中国でも日本同様にmixiのようなSNSが流行しているが、彼らはそこでこんなやり取りをしている。「はぁ〜い。チャイです♪私をあなたのフェイバリットに登録してくれたら、ここのリストに書いてある本は全部ダウンロードできるわよ?」。そう、彼らは我々が(俺はやってないったらやってない)winnyやshareでエロゲやエロ動画を大量にやりとりするのと同様に、技術書を交換しているのである。中国ではまだ日本のようにブロードバンドが整備されていないから、データサイズが肥大する動画よりも、一つわずか数MBですむ技術書の方が価値があるのである。さて、winnyでエロ動画を収集しているそこのおじさん。あなたはいくつのファイルを所持している?100?200?そう、それは彼らも同じなのだ。彼らは数百冊の技術書を個人個人で所有しているのだ。いうまでもないことだが、技術書だけではない。MayaだろうがPhotoshopだろうがタダなのである。そういった書籍は一部は中国語だが、大半は英語で書かれている。でも彼らにすればこれは問題ではない。例えば、フィンランドでは英語のリテラシーを母国語とは別に持つことはごく当たり前である。国の人口が少ないため、何をやっても規模が小さくなりがちで、日本なら100万人の顧客がいても、フィンランドは同じ尺度では5万人なのだ。そんなのではうまみがないので、どんなビジネスをするにしても、とにかくわっかを大きくしがちだ。だからニッチな分野の技術書なんて、間違いなく英語でしか出版されないのだ。そういう環境にさらされ続ければ、英語の読み書きなどあっという間に身に付けられる。中国もそれは一緒。人口規模は大きいが、専門書の出版状況はまるで母国には優しくない。だから英語で読むしかない。それが当然のことなのだ。ましてや中国では出世や収入も大して望めず、彼らは渡米を夢見ているだろう。英語を習得することは誰もが避けられないことなのだ。我々日本人のように中途半端なぬるま湯しか用意されていない状況では、そこまでの努力は割かないのだ。多くの人が、電子データ化された技術書を大量に所持するという異常な状況は、とかく学習面では有利に働きすぎる。たとえばある人がオライリーの本で理解できない箇所があって、それに対してbbsに質問をポストするときに、我々日本人は全て本を読みながら手動で入力するしかないが、彼らはコピペで済むのである。それどころか、みんなが同じ本を持っていることが前提ならば、どこそこのページの何行目という指示で済んでしまう。皆が同じ本を持っていて読んでいるなら、質問に対する回答のレスポンスも異常に良い。もっと恐ろしいのはそれら書籍データの蓄積だ。今時pdfやchmファイルのデータを解析して、全文検索にかけることなんて朝飯前である。我々日本人は、部屋が本でつぶれるなどと嘆き、あれ〜あの情報はどこだったっけ?とあちこちを駈けずり回る必要があるが、数百冊の技術書のデータが一つのノートパソコンの中に収まっているなら、スペースの問題はゼロだし、必要な情報はあっという間に取り出せる。qmailでの再送設定ってどういじるんだっけ〜って問題でもちょちょいのちょいなのだ。googleで検索すればそんな情報すぐかもしれないが、webの大海よりも凝縮された良書の束の方がときには強いのだ。それに我々はいつでもネットに接続できるわけじゃない。ハードディスクに必要な情報が必ずあるという確信ほど心強いものはあるまい。KLabとかいうところでは良書をテーマに討論発表会を定期開催しているようだが、それだっていちいち個々人で本を買っているのだろう。中国ならメールに添付して送信してハイ終了だ。なんて低コストな。しかも全部電子データなんだからいちいち会議を同期する必要はない。コピペ繰り返して非同期化すれば記録にも全部勝手に残ってるしとっても効率的だ。いってみれば日本人は初期設定でゲームをプレイしているのに、中国人は初めから改造データでアイテムフル取得状態なわけだ。勝てるわけがない!