結局

母親の査察の指導は炊事場、風呂、トイレ、洗面台、というかもう、全部に対して及んだ。掃除というのは、目に見えるところだけをしていては話にならないということがわかった(目に見えるところすら掃除していないわけだが)。分解できるところは分解して隅々まできれいにしないといけない。炊飯器の中ブタみたいなのを取り出して煙突みたいなところを指差して母親がこういった。「ここを見てみろ」。すげえ汚れてた。汚れというかなんだこれは。「ちょっとここを見てみて」と何度も何度も呼ばれた。見る度に軽いめまいがした。こんなところを洗うものだとは妻は知らないんだろうな。俺も知らなかった。こんな汚れた炊飯器で白い米を炊いていたのかと思うと身震いしてくる。最初はこの場にいない嫁に対して向かっていた矛先が次第に俺に向かってきた。