プロジェクトがほぼ終わった

今回のプロジェクトは本当にきつかった。途中、やばいこれは無理そうと思ったことも何度かあった。お盆休みは一切取れなかったし土日に出たりしたし毎日終電だった。バグがつのる中でチームの雰囲気も悪くなったりもした。しかし今にして思えば楽しかった。技術的に大いに飛躍できた。

最近は、バグも収束してしまい、定時帰りの毎日である。正直退屈だ。また転職の虫が騒ぎだしてきたりもする。
そうしてプロジェクトも終わりを迎える。さらにいえば次の仕事は今のところ聞いていないので、ハローワークキューにつながれるかもしれない。

思えば3年前、最初のチームに配属されてから、俺は幸せだったと気付かされる。平凡な日々のようでいて、輝きに満ちた毎日だったのだ。多くの出会いと別れがあり、数え切れない挫折と突破があった。

さて、せっかくヒマになったので、ライフワークを始めようと思う。
いくつか案はあるのだが、とっかかりとしてはこれしかないと思っているのがある。

以前Chikirin氏が、パソコンはもう終わりだみたいなことを書いていた。パソコンみたいに多機能なものはもう不要なんじゃないかという話だ。みんなブログ書いたりブラウジングするだけだから、携帯でも事足りるでしょと。開発者やクリエイターにとってパソコンが不要になることはありえない的な反論もあった。しかし多くの人はコンテンツの受け手なわけで、そういう人たちにパソコンが不要になってきているのは紛れも無い事実だ。

一般ユーザがパソコンを、単なる単機能的な使い方しかしていないというのは鋭い指摘で、商店街のおばちゃんならエクセルとワードと筆ぐるめしか使わないし、若者はmixiハンゲームの窓口や友人とのskypeにしか使わない。逆に、こういった傾向は、ユーザがパソコンを使いこなしていることのあらわれともいえる。使い方にパターンが出るというのは成熟のしるしでもあるのだ。

こうなってくると、パソコンの汎用性は、仇となることが多い。エクセルとワードしか使わないのに、間違って拡張子を偽装されたウイルス実行ファイルをダブルクリックしてしまうだけで、商店の恥をさらすことになるおばちゃんや、ブラウザとファイル共有ソフトしか立ち上げていないのに、セフレとの秘密写真を暴露してしまい人生を傾ける人も多くなってきた。

FlashPlayerに脆弱性が発見されてゼロデイアタックされるだけで、ニコニコ動画を見てる何万というユーザの暴露大会が始まる可能性があるのだ。

いってみれば現代パソコンユーザは、知らず知らず核兵器のスイッチにつながれているのだ。壮絶なリスクを背負わされているのだ。そのことに無自覚ではもはやいられないはずだ。
私は自分のパソコンで住所を打ち込むことさえ出来ない。パソコンを信用できないからだ。

まず貴兄らに振り返ってもらいたいのは、あなたはパソコンを何に使っているのかということだ。
2chの画像まとめサイトで幼女キャラの裸を見て、朝までフェチ画像に明け暮れ、気がつけばyourfilehostで女子高生動画を閲覧し、ふと気がつけばTube8でスカトロ動画に興じている。気に入ったものがあれば収集し、保管し、再生する。喜びを友とわかちあい、励ましあい許しあい、認め合い慰め合い、そして今日という日に感謝しているのではないか。
だがそんなささやかな幸福の日々も、たった一度のダブルクリックで闇にとらわれてしまう。何にも悪いことはしちゃいない。人間として当たり前に、当たり前の人生を歩んでいるだけなのに、それさえも叶わないことがある。

だがそんなユーザはまだマシである。世の中には、コンピュータリテラシーを持たないがために、未だにモザイクのアダルトビデオしか選択肢のない人たちがいる。地方のビデオ販売機だけが生きがいになっている哀れな人たちがいる。
もしくは障害を抱えていて、まとめサイトアクセシビリティの低さからお宝に到達できない人たちがいる。

本当にインターネットは全ての人々の心をつなげたのか?彼らの願いを聞き届けたのか?
当たり前の欲求を当たり前に受け入れてくれたのか?

まだ何にも始まっちゃいないのでは?

もはや汎用OSなど不要なのだ。Amazonの電子ブックリーダーのキンドルに見るように、これからは単機能デバイスこそが求められているのだ。
やりたいことをダイレクトにやれなくちゃ意味がないのだ。twitterがあれだけヒットしたのはダイレクトだったからだ。人々の吐息や熱に耳をかたむけたからだ。
どうしてWebブラウザを選択しなくちゃいけない?どうして動画プレイヤーをダウンロードしなくちゃいけない?ウイルスのリスクにさらされなくちゃいけない?

だから作ることにした。ウイルスのリスクにもさらされない、匿名性を剥奪されることもない、やりたいことだけがやれるOSを。
タイトルは「Ona」である。「Mona」からMを取ってみた。もう受身にならなくてもいいというほどの意味だ。別にMonaをベースにするつもりはない。
コンセプトはエロOSである。全ての人にエロを届けたい。


1990年代初頭、薄暗い部屋の中に明かりがにじんでいる。カタカタというキーボードを叩く音と、ときおりのびをする声しか響かない。
彼が書いているのは後に世界を巻き込むことになるコードの種だ。少し大きめの鼻とさえない髪の量のその男性の名を知るものはまだ少ない。
彼は後に言った。「それがぼくには楽しかったから」


私はLinusのように優秀ではない。
だからといって、優秀でないからといってあきらめてしまうのは最低だ。
アイシールド21というアメフト漫画にこんなセリフがある。


「どんな凡庸な雄にも一つだけ許された権利がある
それは 群れのボスに戦いを挑むこと
君は その権利を
使って生きても 使わずに生きてもいい」