小説を読んでいたらいつの間にかこんな時間になってしまった

扇風機を止めたら冷蔵庫の稼動音が耳につく。コンセントを抜きっ放しだった冷蔵庫も今は立派に役目をまっとうしている。先輩が一人やめることになったらしい。別の業界へ行くことになったようだ。その先輩は俺より二つ下で、俺より一年はやくうちの会社に入ったらしい。その人とは以前社員会があった夜、終電に乗り込んだ俺になぜかついて来て、しかも二人揃って乗り込む電車を間違えて、ギリギリで乗り換えて横浜までたどり着き、俺はそのまま朝まで雀荘のつもりだったが、やけに電車の中で意気投合してしまって、そのまま二人で横浜の繁華街をだらだら歩きながら会話した。俺はコミュニケーションなんて苦手だが、その人には何か不思議な空気があって、すらすらと会話が弾んだ。ファミレスを探して相当歩き回ったが、横浜の駅周辺にはファミレスはないようだ。ずいぶん話し込んだあと、その人はネカフェに行った。雀荘の入口でその人と別れた。その後花見のときも、スーツと寝間着しかない俺にユニクロで服を選んでくれた。そのとき何やらジーパンの素材のことを習った気がするが忘れた。花見のときもいろいろと話した。近々社員会があるが、それがその人
の送別会になるのだろうか。今回は俺と別の先輩が幹事役だが、俺は未だにネットに繋げないので調整役はその先輩がやってくれて、俺は単に店を選べばいいだけのようだ。しかしなかなか時間がとれずにまだ店が決まっていない。ときどき、現実感がなくなるときがある。溜め息も増えた。それでも明日の八時過ぎには、中途半端に首に巻き付けたネクタイと共に。