こんなに泣き虫じゃなかった

どんな名作見たってなんの痛痒も感じないやつだったのに。涙を流すことは、事態の解決に対しての貢献はない。にもかかわらず泣くというのは、すでにそれが解決不能だと十分に咀嚼できていて、今必要なのは打開ではなく放涙なのだと体が知っているからだ。俺にできるのは受け入れることだけ。耐えられるかどうか検討している。多分無理だという結論に落ち着くのにそう時間はいらないと思う。ではそこからどうするのか。恐らく何もできない。よくわからないことばかり頭の中を浮遊してる。いつからだったかもともとだったかは知らない。俺は障害者なのか?思い当たることはいくらでもある。でも死ねない。生きると約束したから。たとえ関係が消えようと言葉は忘れない。あなたを忘れない。でも涙は止まらない。わかってる。体は正直だ。俺には無理だ。問題はそのあとだ。夢を見ていた。3ヵ月分もあったけど、とてもいい夢だった。覚めたけど、もうどんな夢だったかは覚えていない。金はあと千円あるかないかってくらい。ことりさん、あなたと話がしたい。でももう会えないよな。足の裏の痛みはまだ消えない。そして洗っても臭い。せめてもう少しだけ、
夢の残り香とともにありたい。決心はついてた。夕食は抜きにするか。ホテル出るの面倒くさいもんな。でも涙は止まらない。かわいそうだよ。なんて哀れで。もう麻雀を打つ金もない。雀荘の女の子が言ってくれた。まだ若いんだからこれからはいいことしかないよって。僕が最初店来たときむちゃくちゃ怖かったそうだ。そりゃ思い詰めてたからな。でもそのときにはいつもの僕だった。彼女が、多分今の僕にとって一番必要な言葉をくれた。「ちょっとがんばればたくさん楽しくなる」「ちょっとでいい」「でもそのちょっとがないとつまらないまま」。すごく明るい子でその雀荘のアイドルみたいな存在だ。ちょっと年増だと思うけど。彼女がついた卓はいつも盛り上がってる。うるさいけどなんかこっちまで楽しくなってくる。でも気付いてしまった。そうやって影で離れたところでくすくす笑うところまでが俺の世界なんだって。ちょっと、ほんのちょっとだけ。布団は暖かい。終わりだなこの旅も。お疲れさん。なあ?これからどうする?知るかよ、でも今は寝ようよ。オナニーでもしろよ。なんだ?結局そこに戻るのか?いいんじゃないかなそんなオチも。そっか。じゃあ久
しぶりにやるか。何か月ぶりだか。くだらねえ。